マイクロプラスチック分析

現代社会において日用品から建設資材,自動車に至るまで、プラスチック製品は日常生活のいろいろな場面で利用されています。一方,使用済みプラスチック製品や廃棄プラスチック製品が環境中に放出され、波や風による機械的な力や紫外線や熱による劣化を受けて徐々に微細化し、海流や大気循環によって水圏、気圏、地圏のあらゆる環境にプラスチック汚染が拡がっていることが知られています。微細化したプラスチックの中でサイズが5mm以下のものをマイクロプラスチック(MP)と呼んでいます。また、衣服の合成繊維から発生するマイクロファイバーや車のタイヤと道路の摩擦により生じるタイヤ摩耗粉塵は直接環境中に放出されるMPとなっています。

環境中のMPには主成分のポリマー以外にプラスチックの機能を付与するための各種添加剤やMP表面に付着した残留性有機汚染物質が含まれます。現在、このようなMPを多様な生物が摂食していることが分かっており、直接摂食の他に食物連鎖によりMP汚染が生態系全体に広がっていて、ヒトへの健康影響も危惧されています。
現在、これらの環境中に存在しているMPの種類や量を正しく把握する調査や研究が求められており、既に多くの調査結果や論文等が公開され、状況は知られてきていますが、その全容はまだわかりません。更なる調査・研究を通じてMPの存在(定性及び定量)や影響を評価し、対策を講じることが求められています。
マイクロプラスチックの分析法
MPによる環境汚染を包括的に評価するには、MP粒子の定性分析と定量分析を行うことが必須となります。その分析には分光分析法と熱分析法の二つの方法が多用されています。どちらの方法でも定性分析は可能ですが、定量分析は分光分析法を代表する顕微赤外分光法や顕微ラマン分光法ではMP粒子数ベースで行われ、一方、熱分析法を代表する熱分解GC/MS法では質量数ベースで行われ、同時にMP粒子中の添加剤の定性・定量分析も行える特徴があります。
熱分解GC/MS法
熱分解(Py)-GC/MS法は、固体または液体試料を直接分析し、その組成と化学構造を解析できる手法です。不溶不融の高分子や三次元架橋構造を含むポリマー試料にも適用できます。また、通常なんら前処理もせずに、マイクログラムレベルの試料量で測定できるため、 他の分析手法では得難い独特の情報が得られ、ポリマー分析においては必要不可欠な分析法です。 そのため、Py-GC/MS法はMP分析においても極めて有効な分析法です。Py-GC/MS法に関しての詳細は、こちらのリンクをご覧ください。
Py-GC/MS法を用いるマイクロプラスチック分析ソリューション
フロンティア・ラボは、30年以上にわたりポリマー分析の最前線に立ち、熱分解GC/MS法に関する深い知見と豊富な実績を積み重ねてまいりました。分析機器の開発からソリューション提案まで一貫して手がけており、技術の進化と現場ニーズの両面を踏まえた製品づくりを強みとしています。高性能な加熱炉型パイロライザーを核に、サンプル採取から最終的なデータ解析まで、分析ワークフロー全体をカバーする包括的な製品群を提供しています。
弊社のマイクロプラスチック分析ソリューションは、環境試料中のMPを対象とした定性・定量分析に特化したシステムです。水中のMPを効率よく回収する専用のサンプル採取装置、Py-GC/MSシステム、解析ソフトウェアを含め、MP分析に必要な工程を網羅する統合的なソリューションとして提供しています。中核となるPy-GC/MSシステムは高感度・高精度な分析を可能にするよう最適化されており、信頼性の高いデータ取得を支援します。
また、操作性の高さにもこだわり、経験豊富な分析者はもちろん、これからMP分析に取り組む方にも扱いやすい装置構成となっており、測定データの処理を迅速に行える専用の解析ソフトウェアをご用意しています。1検体あたり約30分で測定が完了するため、効率的なワークフロー構築に貢献します。

フロンティア・ラボのMP分析ソリューション構成図
熱分解GC/MSシステムを使用したマイクロプラスチック分析
ASTMが規定するMP分析法
ASTMインターナショナルのウェブサイトには、『熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析(Py-GC/MS)を用いた水中のマイクロプラスチックの定性と定量に関する標準試験法「ASTM D8401-24」』 が公開されています。試験法の詳細についてはASTM.orgのウェブサイトをご覧ください。
弊社が開発した「マイクロプラスチック分析用Py-GC/MSシステム」は本ASTM規格に準拠しています。このシステムは、マイクロプラスチック分析に必要な種々のハードウェアおよび定性・定量分析に必要なソフトウェアから構成されています。
MP分析関連製品

Smart 微粒子コレクター
(Smart Fine Particle Collector: SFPC)本装置では、新方式の不活性金属フィルターを入れた捕集カップを使用して、清浄水中の5μm以上のMPを直接吸引ろ過捕集します。捕集後のカップはそのままPy-GC/MS測定に使用でき、前処理の手間を軽減します。

F-Search MPs 2.1
独自の検索アルゴリズムにより、ポリマー分析の経験が浅いユーザーでも、12種類のMPを定性・定量できます。

多機能スプリットレス・サンプラー(MFS-2015E)
この装置は、スプリットレス熱分解法とバックフラッシュに対応します。スプリットレス熱分解により、微量ポリマーやポリマー中の低濃度添加剤の高感度分析ができます。また、バックフラッシュ機能は分析時間を短縮し、システム汚染を低減します。

MP校正標準試料
本製品は、Py-GC/MSを用いて12種類のポリマーを定性・定量するために使用されます。MP定量用の検量線を簡単に作成できます。セミミクロ天秤での秤量を容易にするため、SiO2とCaCO3を希釈剤とし、各ポリマーを数マイクログラムずつ含有しています。

迅速凍結粉砕装置IQ MILL-2070
コンパクトな卓上粉砕装置で、操作が簡単です。短時間での粉砕ができ、室温・凍結粉砕(予冷方式)にも対応します。試料の均一化により、測定結果の再現性の向上にも貢献します。
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MP分析について、これらのビデオでさらに詳しく
こちらのビデオでは、MP分析に関する知見をご紹介します(視聴にはログインが必要です)。
Quantification & Identification of Microplastics in Air Using Pyrolysis-GC/MS
大気中に含まれるMPの分析に焦点を当てたセミナーです。MPの定性・定量分析に最適化したPy-GC/MSシステムの装置構成と仕様を紹介しています。また、Py-GC/MSシステムを用いた大気中に含まれるMPの定性・定量分析例を解説しています。
You Can’t Manage What You Can’t Measure
環境中に含まれるMPの問題について焦点を当てたセミナーです。空気、水、土壌試料中のMP分析の手法について紹介しています。また、Py-GC/MSがMPの定性・定量を行う手法として、いかに有効であるかについて説明しています。






