• 【PY】他社の熱分解装置は加熱装置の温度の到達温度は保証していますが、なぜパイログラムの再現性は保証していないのですか?

    他社の従来の製品は、マニュアルモードでの使用の場合に、その再現性が20~30 %と、分析におけるデータの信頼性は著しく乏しく、
    仕様として明記できないレベルであるため、各社とも再現性を仕様として保証していません。弊社は、温度制御精度を向上させると共に、各部品の最適化を図る事でこれを可能としました。550 ºCにおいてポリスチレンを熱分解して生成する、スチレンのトライマーと
    内部標準物質(ステアリン酸メチル)のピーク面積比率の相対標準偏差が、2 %以下であることを保証しております。

  • 【PY】現在使用中の装置が正常に動作しているかどうかを知りたいのですが、どのような方法があるでしょうか?

    ポリスチレンのパイログラムを測定し、そのパターンから判別できます。マルチショット・パイロライザーに付属する性能確認用ポリスチレン標準試料(P/N:PY1-4908、5 %ステアリン酸メチル含有)のパイログラムを測定し、取扱説明書の「第8章 基本性能の保証」のFig. 8.2と同等のパイログラムが得られることを確認してください。

  • 【PY】熱分解の速度はどの程度に速いのですか? これはキューリーポイント型の熱分解装置と比べてどうですか? その影響はどのように結果に反映されますか?

    弊社が採用している縦型加熱炉型においては、名古屋大学名誉教授の柘植先生の報告によると、窒素雰囲気中での熱分解温度は100 msec以内とされています。これがヘリウム雰囲気中の場合、理論的にはその数分の1の時間となりますので、キューリーポイント型のフォイルと同程度の分解速度です。実際の熱分解速度と温度の再現性は、分析結果であるパイログラムの再現性に示されます。キューリーポイント型の場合、試料を包んだ強磁性体フォイルそのものの温度は、瞬間的に温度が上昇しますが、試料と試料ホルダーとの接触状態が試料分析毎の異なることで、パイログラムの再現性の低下原因となります。一方、フィラメント型を用いた熱分解装置では、内径2 mm以下で長さ30 mmの石英管の内部に試料を入れる際、その位置が毎回同じではないために、再現性が低下します。

  • 【PY】温度制御の精度はどのくらいですか?

    マルチショット・パイロライザーでは、表示温度に対して±0.1 ºC以内です。

  • 【PY】パイロライザー内での吸着は生じませんか?

    熱分解管は石英製であり、また熱分解中心部からGC注入口間に用いているインターフェースニードルの内面は、Ultra ALLOYの技術で
    不活性化処理を行っているために、パイロライザー内での吸着はほとんど無視できます。また弊社の出荷前の検査では、パイロライザーを取り付けた状態で、分離カラムの出口までの不活性さに合格したものを出荷しております。

  • 【PY】パイロライザーに使用する冷却用ガスは、何の目的に必要ですか? また必ず必要ですか?

    マルチショット・パイロライザーを用いた低温から高温までの昇温加熱を伴う発生ガス分析や熱脱着分析を繰り返す場合、加熱炉の温度を昇温加熱の初期温度まで冷却するために必要です。ただし、シングルショット・パイロライザーは一定温度での操作ですので、必要ありません。

  • 【PY】マルチショット・パイロライザーに使用する冷却ガスの消費量はどのくらいですか? また、ガスの品質はどの程度のものが必要ですか?実際の冷却時間はどのくらいですか?

    冷却ガスの供給圧力が500 kPaの時、毎分7リットルほど消費します。
    ガスはミストトラップつきコンプレッサー空気または、工業用空気や窒素が使用できます。

    マルチショット・パイロライザー(EGA/PY-3030D)の場合、600 ºCから100 ºCまで冷却するには、約5分かかります。
    また、ダブルショット・パイロライザー(PY-2020iD)の場合には、約20分かかります。

  • 【PY】揮発性成分の分析において、パイロライザーを用いた場合と、ヘッドスペースサンプラーを用いた場合の違いは何ですか?

    パイロライザーは、試料加熱部からGC注入口までの流路間に存在する低温部を最小としているため、C40程度の高沸点化合物までの幅広い沸点範囲の化合物を分析することが可能です。測定てきる最大試料量は数10 mg程度ですので、PPBオーダーの分析が可能です。
    ヘッドスペースサンプラーでは、数100 mgの試料を取り扱うことが可能ですが、試料内部に存在している目的化合物の熱脱着は不十分であったり、最高加熱温度が約200 ºCであったりする短所があります。また、試料加熱部からGC注入口までの距離が長いために、その流路間に多くの低温部が存在することから、適用範囲はC20程度までの低沸点化合物の分析に限定されます。

  • 【PY】熱分解装置には、加熱炉型、フィラメント型、キューリーポイント型の三方式がありますが、その基本的な違いはどこにあるのでしょうか?

    基本的な違いは試料の加熱方式にあります。

    加熱炉型: ヒーターにより予め所定の温度に加熱された加熱炉内に、小さな試料カップなどに保持された試料を自由落下により導入して、試料を加熱します。

    フィラメント型: 試料は内径約2 mmの石英管に採取します。これを髪の毛のような太さの直径約0.5 mm程度のフィラメントのコイル中に挿入します。内径2 mmの石英管内部に保持した試料が、このフィラメントに通電することにより、フィラメントが急速に発熱し、これによりその輻射熱で試料を加熱します。この際の熱分解温度は、フィラメントの抵抗値と電圧からの計算値で、実際の試料の温度とは大きくかけ離れています。

    キューリーポイント型: 試料は強磁性体の金属フィルムに包まれます。試料ホルダー(パイロホイル)に試料を包み、この金属フィルムに外部からの電磁波を照射することで、誘導加熱により自己発熱させ、内部の試料を加熱します。フォイルが発熱し、その伝熱により試料が加熱されます。この際のその加熱熱分解温度は、強磁性体の金属組成に依存します。

  • 【PY】熱分解装置内には、デッドボリュームがあると思いますが、データにその影響はないのでしょうか?

    試料カップが落下導入され、熱分解する石英熱分解管からGC注入口間のデッドボリュームは、最小に設計しています。製品の出荷検査においては、実際のピークの広がりが生じないことを確認しています。

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